窓を断熱する重要性
熱は温度の高いところから低いところへ移動して、両者が一緒の温度になろうとする性質があります。そのため夏場に室内を冷房で冷やしても外気温は高いので外気の高い熱がどんどん室内に移動して室内の温度を上げていきます。逆に冬場は、室内の暖かい熱がどんどん寒い外に移動していきます。それが「窓」です。
窓からの熱の侵入が圧倒的に多い事実があるのです!
では、どのくらい窓の断熱が弱いのでしょうか?
夏場に窓から入ってくる熱の割合

夏に冷房の効いた室内から外の熱が入ってくる割合は、何と窓が71%もあります。
次いで、外壁が13%、屋根が9%、換気が5%、床が2%となります。
冬場に窓から出て行く熱の割合

冬に暖房の効いた室内から熱が外に移動する割合は窓が48%です。
次いで、外壁が19%、換気が17%、床が10%、屋根が6%となります。
つまり窓を断熱することが、もっとも効果的なのです。
この結果を知ると窓を断熱しないと「もったいない」ですよね。
では、窓を断熱する方法はどのようなものがあるのでしょうか?
さまざまな多層ガラスの活用で断熱性アップ
ガラスは、シングルガラス→ペアガラス→トリプルガラスと多層になるほど断熱性能がアップします。多層ガラスではガラスが挟む空気層の厚さでも断熱性が大きく異なります。日本では標準的な空気層の厚さとして6mm、12mm、16mmがありますが、16mmの方が効果は高くなります。
近年、高性能ガラスとして注目を集めているのがLow-Eペアガラスです。
Low-Eペアガラスとは、ペアガラスの片方の表面に特殊金属膜をコーティングすることで、2枚のままで3枚分の断熱性を持たせることができるものです。重量のあるトリプルガラスに比べて軽量なLow-Eペアガラスは開閉時の使い勝手がよく、サッシの金具にも負担をかけません。

そのほか、断熱性を高めるために2枚のガラスの間を真空状態にした真空ガラスや空気の代わりに特殊なガスを封入した不活性ガス混入ガラスも製品化されています。
近年断熱窓の主流となりつつあるLow-Eペアガラスでも、日射量との関係から断熱タイプと遮熱タイプが使い分けられています。
日射量をよく通し、放射熱を反射させて室内に閉じ込める断熱タイプは寒冷地で多く用いられ、日射量が多い太平洋側などでは夏の強い日差しを防ぐ遮熱タイプが選ばれています。

極めて断熱性が高い住まいでは、日射取得の効果が格段に高くなります。
温暖地では遮熱タイプのLow-Eペアガラスと樹脂複合サッシの組み合わせが目安です。
一方寒冷地では断熱タイプのLow-Eペアガラスと樹脂複合サッシの組み合わせが目安です。
一年を通して最少のエネルギーで快適に暮らすためには、夏にいかに熱をシャットアウトするかも考えなければなりません。ポイントとなるのが、厳しい夏の西日を受ける西面の日射遮蔽です。採光などを目的に西面に大きな窓を設置するのは、省エネと快適性の観点からはNGです。
通風を目的に遮熱ガラスを使った最少限の窓のみ設けて対策します。
記事の監修者

設計士
西村佳晃
一級建築士 / 一般耐震技術認定者 / 宅地建物取引士
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。