リフォームコラム

【種類・場所別】バリアフリーリフォームの費用相場・事例を紹介!

シニア世代のご家庭や、介護を行っている方は、自宅をバリアフリーリフォームすると快適性がぐんと増すことがあります。バリアフリーリフォームという名前は聞いたことがあっても、具体的にどのようなことをするのか、分からないことが多いのではないでしょうか。
今回はバリアフリーリフォームについて解説します。リフォームに際して気になる費用相場や事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも「バリアフリーリフォーム」とは?

バリアフリーには「障壁となるものを取り除く」という意味があり、すべての人が平等に生活できる環境や社会を指します。例えば、段差がない入り口や手すり、広いエレベーター、聴覚が不自由な人のための音声案内の字幕などもバリアフリーの一部。物理的な空間以外にも、情報・コミュニケーション・サービスなど、さまざまな分野での壁を取り払い生活環境の向上を目指します。

バリアフリーリフォームとは、安全に快適な生活を送れることを目的としたリフォームのこと。つまずいて転倒するリスクを抑えるために段差を解消したり、安全に歩けるように手すりをつけたりと多岐にわたります。

バリアフリーを行うタイミングの例

  • 体の衰えのサインが出る前の50~60代頃から
  • 子どもが自立し、家族構成に変化が出てきたら
  • 住宅のリノベーション工事のタイミングで

【種類別】バリアフリーリフォームの費用相場

バリアフリーリフォームとひとくちに言っても、その種類はさまざま。家の中のどの部分をバリアフリーにするのか、目的や施工内容によってもリフォーム費用の総額は大きく異なります。ここからは、バリアフリーリフォームの種類別の費用相場をご紹介します。

手すりの設置

歩行中のバランスがとりづらい場合、立ち上がりや座るときにサポートが必要なときは、手すりを設置するリフォームがおすすめです。階段・廊下・バスルーム・トイレなどさまざまな場所に設置されます。

リフォーム内容費用相場
手すりの設置約1〜5万円

手すりの設置には、材料費(手すり)と工事費用がかかります。手すりを付ける壁を補強する場合は5万円以上かかる場合もあります。

段差の解消

家の入り口や部屋間の段差を解消することで、車椅子や歩行器を使用している人にとって室内でのスムーズな移動が叶います。また歩行の際の転倒防止にもつながる

リフォーム内容費用相場
小さな段差にスロープを設置する約2千円〜
玄関の上り框にスロープを設置する約15〜20万円
床のかさあげでフラットにする約12〜40万円

小さな段差であれば、簡易的なスロープを設置して和らげるだけで問題なく通行できることも。上り框のような大きな段差にスロープを設置すると費用がかさむため、踏み台を置いたり、デッキから車椅子を出入りさせるケースもあります。

隣の部屋と床の高さが違って段差ができている場合、小さな段差であればフローリングの重ね張りで床をかさ上げしてフラットにできることも。床を一度はがして、下地を調整してから新しい床材を張ることもあります。

ドアの変更

開き戸は開閉するときに体の前後移動が多くなるので、引き戸に変えると通行しやすくなります。一般的なドアは歩いて通ることを想定した幅になっているため、車椅子で通行しにくい場合は間口を広げるとよいでしょう。また握力が弱くなっている方は、ドアノブの種類を変えるだけでも使いやすくなるケースがあります。

リフォーム内容費用相場
開き戸→引き戸へ変更する約5〜10万円
ドアのハンドルを変更する約1万円

滑りにくい床への張り替え

部屋の床材を滑りにくいものに張り替えることは、転倒防止に効果的です。特にキッチンやバスルームなど、水がかかりやすい場所は滑りにくい床材にしておくと良いでしょう。

リフォーム内容費用相場
床の張り替え約10〜20万円

フローリングの硬さが足腰に負担がかかりやすい場合は、フローリングの材質を滑りにくく、そのうえ柔らかなものに変えるリフォームも可能です。張り替えをする場所の広さや選ぶ床材によって費用が変わることがあります。

間取りの変更

足の悪い高齢の方や、車椅子で生活する方などにとって、狭い廊下や階段は生活のしづらさにつながります。バリアフリーリフォームでは、生活動線をスムーズに行える間取りに変更したり、廊下の幅を広げたりする工事も考えられます。

リフォーム内容費用相場
間仕切り壁の撤去約5〜10万円
間仕切り壁の設置約5~20万円

間取りの変更を含むバリアフリーリフォームを検討している場合は、リフォーム会社へどのような間取りにしたいかを伝えて、事前に費用の見積もりを出してもらうようにしましょう。

【場所別】バリアフリーリフォームの費用相場

バリアフリーリフォームは、住む人が安全で快適な生活を送れることを目的としたリフォームです。

リフォームの適切な施工内容は、家の中の場所ごとに異なります。人によっては、全体をバリアフリーリフォームする場合もあったり、部屋の一部のみをバリアフリー化する場合もあったりします。

ここからは、家の中をバリアフリーリフォームする場合の、リフォームの種類や費用相場、工期を場所別にご紹介します。

「玄関」のバリアフリーリフォーム

出入りが多い玄関は、車椅子を利用する方や介護をする方にとって、優先的にバリアフリーリフォームを検討したい場所です。

玄関の段差をなくしたり、スロープを設置したりしてバリアフリーにすることで、車椅子を使う家族や小さな子ども、足腰に不安のある高齢の方たちが安心して出入りできるようになります。また、介護する側にとっても出入りをサポートする際の不安が軽くなるでしょう。

リフォーム内容費用相場工期
手すりの設置約1〜15万円半日~1日
スロープの設置約2〜45万円5~8日
玄関ドアを引き戸へ変更約20~60万円半日~1日
腰掛けベンチの設置約3~7万円半日~1日

今の玄関の形や入口の広さによって、スロープや手すりのサイズが変わります。また手すりの種類によって価格も変わるため、詳しくはリフォーム会社へ確認してください。

「廊下」のバリアフリーリフォーム

身体機能が衰えても安心・安全な移動ができるように、廊下のバリアフリーリフォームも検討しましょう。

車椅子を使う場合、車椅子で移動することを考えた幅の廊下に広げることが大切です。まっすぐに進むだけではなく、曲がる際のことも考えた廊下幅を確保しましょう。

車椅子を使用しない場合でも、手すりの設置や段差解消で、安全に廊下を移動できるようになります。

リフォーム内容費用相場工期
手すりの設置約1〜5万円半日~1日
段差解消約2〜15万円1日~1日半
廊下幅の拡張工事約30~100万円2週間~
足元照明設置約1万円〜半日~1日

廊下の壁に手すりを設置する際は、壁の強度を確認する必要があります。強度がないと、手すりに体重が乗った際に手すりが壊れてしまう可能性があるからです。もし、手すりを設置する前に壁の補強が必要な場合は、工事費用が高くなります。
夜に廊下を移動する可能性を考えて、リフォームと同時に足元照明を付けると安心です。

「トイレ」のバリアフリーリフォーム

高齢の方や、介護を必要とする方だけではなく、介護をする方にとっても、トイレをバリアフリー化することでストレスが軽減されます。

洋式トイレの動作は和式に比べて楽ですが、腰掛けるときや立ち上がるときにふらつく危険があるため、バリアフリーリフォームを行うことで転倒のリスクを防ぐことができるでしょう。

リフォーム内容費用相場工期
床の張り替え約2万円~1~2日
手すりの設置約1~5万円半日~1日
和式から洋式へ変える約20~35万円2日~5日
ドアを引き戸にする約5〜30万円半日~1日
拡張工事約70~200万円3日~5日

トイレのバリアフリーリフォームで一般的なものは手すりの設置です。また、床を抗菌性能の高いものに張り替えることで、掃除がしやすくなります。

また、もしトイレの中で転倒してしまったときに外からドアを開けやすいように、ドアは開くタイプから引き戸へ変更しましょう。引き戸にしておくことで、将来車椅子を使用する場合でも出入りが楽になります。

「洗面所・浴室」のバリアフリーリフォーム

洗面所や浴室など、水を使う場所もバリアフリーリフォームの検討が必要です。特に高齢者がいるご家庭では、浴室の出入口の段差でつまづいたり、寒い浴室でヒートショックを起こしたり、多くの心配があります。

リフォーム内容費用相場工期
手すりの設置約1~5万円半日~1日
暖房機能の設置約10万円〜25万円1日
濡れても滑りにくい床にする約9~15万円2~3日
浴槽と床の高低差の少ないユニットバスへ約70万円〜150万円2~3日
浴室拡張約30~200万円1週間~

浴室のバリアフリー化は、介護される側・する側がスムーズかつ快適に利用できることを考えましょう。高齢者や介護者の状況によっては、お風呂専用の車椅子(シャワーキャリー)を取り入れたり、非常用ブザーを設置したりすることで、安心につながることもあります。

「寝室」のバリアフリーリフォーム

寝室のバリアフリーリフォームは、緊急時に備えて、介護する家族が目の届きやすい場所に配置すると共に、介護者・高齢者のプライバシーへの配慮も大切です。

リフォーム内容費用相場工期
手すりの設置約1~5万円半日~1日
コンセントを増設する約1.5~2万円半日~1日
足元に照明をつける約1万円~半日~1日
ドアを引き戸に交換約5~10万円1日
間仕切り壁撤去約10~25万円1週間~
間仕切り壁設置約8~20万円1週間~

寝室は夜間の移動に危険がないようなリフォームを検討することが大切です。ベッドサイドや足元に照明を設置したり、手すりを付けたりすることで、夜中にトイレに起きたときにつまづいたり転倒したりする心配がないでしょう。

もし、寝室をリビング近くまで移動させたい場合は、間取りの変更のように大がかりなリフォームが必要になります。寝室の大規模リフォームの場合は、費用や工期に影響が出てくるため、リフォーム会社とのしっかりとした見積もりや計画を立てましょう。

【価格帯別】バリアフリーリフォームの事例

ここからは、バリアフリーリフォームの事例を価格帯別にご紹介します。

~50万円のバリアフリーリフォーム

車椅子でも使いやすい洗面トイレにリフォーム

費用約50万円
施工期間3日
施工箇所
  • 車椅子でも使いやすい洗面台を設置
  • クッションフロアに張り替え

洗面スペースとトイレの水周りをリフォームした事例です。車椅子を利用する方も使いやすい、広めの洗面を設置。鏡も通常より広いものに変更したことで、車椅子の方、小さなお子さん、家族が皆利用しやすい洗面台となっています。

洗面スペースから続くのはトイレとお風呂です。足元のデザインを同じクッションフロアにすることでつながりと使いやすい水まわりになりました。

二世帯住宅のトイレリフォーム

費用約26万円
施工期間1日
施工箇所
  • 手すり、カウンターの設置
  • 最新型トイレへ交換
  • コンパクトタイプの洗面台へ交換

築40年の2世帯住宅のトイレを、主に使用するご両親世帯向けにバリアフリー化した事例です。手すりとカウンターを設けることで、安全にトイレを利用できるように。トイレスペースの広さは変えず、洗面台をコンパクトタイプにすることで、ゆとりあるトイレ空間になりました。

~100万円のバリアフリーリフォーム

玄関のバリアフリーリフォーム

費用約85万円
施工期間5日
施工箇所
  • 手すりの設置
  • 収納椅子の設置
  • 大型収納設置

安全性をプラスした玄関のバリアフリーリフォーム事例です。2世帯住宅の玄関は、親世代の方のために手すりと椅子を設置。椅子は壁に収納できるタイプのため、通行の邪魔になりません。大きな収納と、框を斜めにすることにより収納力を上げて、コンパクトでもすっきりとした玄関に仕上がっています。

浴室のバリアフリーリフォーム

費用約61万円
施工期間4日
施工箇所
  • ドアを引き戸に交換
  • 床材変更
  • 浴槽交換
  • ランドリーパイプ設置
  • アクセントパネル変更

お風呂で起こり得るリスクを減らし安心で安全にお風呂時間を楽しめるバリアフリーリフォーム事例です。転倒やヒートショックを防ぐ床材への変更、お湯が冷めにくく、手足を伸ばして入れる浴槽への交換、ドアの交換などをしました。天井付近にはランドリーパイプを2本設置し、天候が悪い日は浴室に洗濯物を干すことができます。

~150万円のバリアフリーリフォーム

リビングのバリアフリーリフォーム

費用約150万円
施工期間6日
施工箇所
  • 廊下の撤去
  • 子ども用遊具の設置
  • 対面キッチンへの変更

リビングから各部屋へのアクセスをスムーズにするため、廊下を撤去し広々とした空間へバリアフリーリフォーム。ボルダリングやうんていなど、家族が見守る場所で子どもが遊べる空間をつくりました。

リビングからは洗面所・お風呂につながっていて、寒い廊下を通らずに移動できます。玄関から自室に向かうまでに、必ずリビングを通る間取りのため、家族同士が顔を合わせられるのも安心です。

~250万円のバリアフリーリフォーム

増築でバリアフリーリフォーム

費用約250万円
施工期間10日
施工箇所部屋の増築

玄関とは別に外から出入り可能な部屋を増築したリフォームの事例です。出入口は段差がなく、引き戸にしているため車椅子でも楽に出入りできます。

土間の部分には安全性を高めるために滑りにくいタイルを採用。光と風を採り入れられる窓を設置し、明るさも確保しました。

部屋の大きな引き戸を開いた先にあるのがリビングです。リビングとつながることで、開放的で空間が広く感じられます。

バリアフリーリフォームを行うときのポイント

バリアフリーリフォームは、介護を必要とする方や高齢者など、家に住む人の状態を考えることはもちろん、同居する家族にとっても適切なリフォームかを考えることが大切です。

ここでは、バリアフリーリフォームを行う際に注意したいポイントを3つご紹介します。

家族誰もが快適に過ごせる空間づくりを

バリアフリーリフォームは、高齢の方や障害を持つ方が安全に暮らせることはもちろん、他の家族も快適に過ごせる空間づくりを意識しましょう。例えば手すりを付ける場所や高さは要介護者の身長や能力に合っているのか、子どもにとっては危険にならないのかなど、両方の立場に合わせた設置位置を考えることが大切です。また、介護・介助する方もストレスなくケアできる環境づくりも目指しましょう。

早い段階での計画が大切

将来に備えたバリアフリーリフォームを検討している場合は、早めにリフォームの相談をするのも良いでしょう。早めに自宅をバリアフリー化することで、未然に怪我を防ぎ、突然の状況変化にも対応しやすくなります。

バリアフリーの知識や経験豊富な業者へ依頼する

バリアフリーリフォームの業者選びで大切なのが、バリアフリーへの専門知識を持つスタッフが在籍しているか、施工実績があるかどうかを確認することです。
バリアフリーは暮らす人のリスクを減らし、介助・介護者の負担を減らすことが目的です。バリアフリーへの最低限の知識はもちろん、的確なアドバイスをしてくれる業者を選ぶようにしましょう。

バリアフリーリフォームに活用できる主な補助金制度

バリアフリーリフォームは施工箇所によっては一般的なリフォームよりも費用がかかる場合があります。費用面での負担を少しでも軽減するため、補助金制度を上手に活用しましょう。

介護保険制度による補助金

介護保険制度による補助金とは、在宅介護による自宅のリフォーム費用の一部補助を受けられる制度です。

補助金に申請できる条件は、要支援・要介護に認定されていること。支給額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限とされています。この金額は、要支援・要介護の区分にかかわらず定額です。

対象となる住宅改修工事(リフォーム)の種類は以下の6つです。

  • 手すりの取り付け
  • 段差解消
  • 滑り防止または移動をスムーズにするための床や通路面の材料交換
  • 扉の取り換え
  • 便器の取り換え
  • その他必要となる住宅改修

介護保険を利用してバリアフリーリフォームする場合は、まずはケアマネジャーに相談をします。その後、申請書類を提出、確認後施工開始となります。

利用者の提出書類は以下の4つです。

  • 支給申請書
  • 住宅改修が必要な理由書
  • 工事費見積書
  • 完成予定の状態が分かる写真または図

完成後は工事終了が分かる書類(請求書)などを提出し、支給を申請しましょう。工事完了後の提出書類は以下の4つです。

  • リフォームにかかわる費用の領収書
  • 工事費内訳書
  • 完成後の状態が確認できる写真(撮影日が分かるもの)
  • 住宅所有者の承諾書

出典:介護保険による住宅改修(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf

自治体独自の制度による補助金

介護保険による補助金とは別に、各自治体が独自でバリアフリーリフォームに関する費用を補助する制度を設けている場合があります。
自治体によって、利用条件や申請時期などが異なるため、バリアフリーリフォームで補助金を申請したい場合は、必ずお住まいの自治体に確認するようにしてください。

各自治体が設ける補助金制度を一部ご紹介します。

  • 東京都町田市:住宅のバリアフリー化工事にかかる費用の4/5(上限10万円)を助成
  • 広島県広島市:介護保険法に基づく住宅改修費の補足として住宅改修費(上限60万円)を補助(所得制限あり)
  • 埼玉県さいたま市:バリアフリー改修工事の対象経費2/3を補助(上限30万円)
  • 大阪府堺市:重度障害を持つ方の住宅改修費用を上限50万円補助

まとめ

バリアフリーリフォームは、介護を必要とする方や高齢の方が安心・安全に暮らせるように、適切な内容で工事を行うことが大切です。

バリアフリーリフォームを検討する際は、状況に合わせたリフォーム内容を検討しましょう。また、介護保険や自治体の補助金を利用することによって、リフォームの費用負担も軽減できます。

バリアフリーリフォームをご検討の方は、リフォーム実績豊富なスペースアップにご相談ください。リフォーム箇所やご要望をお聞きし、最適なプランをご提案いたします。

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記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。