リフォームコラム

プラスターボードとは?種類や効果的な活用方法、石膏ボードとの違いを徹底解説

新築住宅やリフォームにも使われるプラスターボード。名前はなんとなく聞いたことがあっても、どういったものなのか、実際どのように使われているのかはイメージしにくいですよね。

今回お伝えするのはプラスターボードの原材料や加工方法、石膏ボードとの違い、使うメリットやデメリットです。またプラスターボードにはたくさんの種類があります。種類ごとの特徴や用途も詳しく解説しますので、目的にあうものを見つけうまく活用してください。

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プラスターボードとは?

プラスターボードとは「プラスター材」を芯材として、両面をボード用紙ではさんで成形した板状の建築材料です。芯材になっている「プラスター材」は、壁や天井を仕上げるための左官材料全般を指し、原料の違いによって「石膏プラスター」「ドロマイトプラスター」「石灰プラスター(漆喰)」などがあります。

プラスターボードは、天井や壁の下地材として多く使われます。上から塗装したり、クロスや壁紙を貼ったり、仕上げ加工されたものなどバリエーションが豊富です。

石膏ボードとは?

プラスターボードの芯材となるプラスター材にはさまざまな種類がありますが、代表的なものが「石膏」です。そのため「プラスターボード」と呼ぶときは、石膏を芯材とした「石膏ボード」を指すことが多く、両者はほとんど同じ意味の単語として使われています。

石膏とは硫酸カルシウムを主成分とする鉱物のこと。セメントと同じく、水と反応すると固まる性質があります。この性質を利用し、身の回りのさまざまなものにも使われており、たとえば歯の模型や骨折したときに使うギプスの原材料も石膏です。

丈夫で火に強く、安く、どこでも手に入り、施工がしやすい石膏ボード(プラスターボード)は、住宅や店舗、オフィスなどの建物になくてはならない存在となっています。

プラスターボードのメリット・デメリット

プラスターボードのメリット

安価で入手しやすい

プラスターボードを使うメリットは、安価で入手しやすいことです。たとえばサイズが910×1820mmで、厚み12.5mmの一般的なプラスターボードなら、ホームセンターで500円程度で手に入ります。天井や壁など広い面にたくさん使う材料なので、建築やリフォーム全体のコスト削減につながるでしょう。

プラスターボードは建築現場ではポピュラーな材料なので、安心して使えます。DIYでも使えますが、重さが10kg以上あり、板状で持ちにくいので運べるか確認してから購入してくださいね。

防火性があり火に強い

防火性があり、火に強いのもプラスターボードの特徴。ボード内の石膏には結晶水が含まれている状態です。火事が起こった際、加熱されると化学反応で結晶がこわれて水蒸気になります。その水蒸気によって火の温度を抑え、火事の進みを遅らせるという仕組みです。

プラスターボードは厚みや種類によって、不燃材料や準不燃材料といった防火材料として認定されているものも。12mm以上の厚みがあるプラスターボードは不燃材料、9mm以上のものは準不燃材料に認定されます。

遮音性があり音を通しにくい

プラスターボードは遮音性があり、音を通しにくいです。そのため、マンションの部屋のあいだの壁や、ホテル、病室などにも使われており、より性能のいいものは映画館やスタジオでも使われます。既存壁を壊さないで重ね張りする騒音対策リフォームにも有用です。

騒音には空気を伝わってくる音(話し声、テレビの音など)と、振動によって聞こえる音(足音、洗濯機の振動音など)があります。とくに振動による騒音は空気音に比べて伝わりやすいため、慎重に対処しなければなりません。プラスターボードを何枚か重ねて貼ったり、吸音材と組みあわせたりして対策が工夫されています。

施工がしやすい

プラスターボードが好まれる理由は、施工のしやすさにもあります。施工方法はくぎやビスで留める、クリップと呼ばれる金物を使って留める、専用ボンドで接着するなどです。

切断も容易で、大きめのカッターで簡単に切ることができます。片面にカッターで切れ込みを入れてから、折り曲げるように力を加えるとボードが折れるので、反対側の紙も切りましょう。面取り、やすりがけして使用します。切るときに粉がでるので、安全メガネや防塵マスクが必要です。

プラスターボードのデメリット

水分や湿気に弱い

プラスターボードは石膏と紙からできているため、水分や湿気に弱いのがデメリットです。水分を含むとカビの原因になるだけでなく、強度が落ちてしまうので気をつけなければなりません。

建築現場では雨に濡れないように注意します。使用時にも普段から雨漏りには気をつけましょう。万が一雨漏りや洪水などで濡れてしまったら、張り替えが必要です。

キッチンや脱衣所、洗面所などの水回りに使う場合には、防水加工された「シージング石膏ボード」という種類を選ぶのが一般的です。

点の衝撃で欠けやすい

プラスターボードは点の衝撃に弱いです。物の角があたったり、とがったものがぶつかったりすると、簡単に欠けたり穴があいたりします。引っ越しや模様替えのとき、家具をひっかけないように注意しましょう。

一方で面に対する衝撃には強いため、大人がぶつかる程度の衝撃ではなんともありません。面の衝撃に対する強さは、地震や強風による建物の揺れに有利です。このためプラスターボードは耐力壁として使われることもあります。

ビスやネジ留めに弱い

プラスターボードはビスやネジ留めに弱いです。無理に留めようとすると、石膏がポロポロ落ちたり、白い粉が出たり、一時的にビスが留まったとしても落ちてしまいます。プラスターボードだけではビスやネジを保持する力がないからです。

対策としては、裏に間柱などの下地がある場所を探して留めるか、ボードアンカーを使います。ボードアンカーとはプラスターボードの裏側からもビスで支え、重さを分散できる部品です。使う際は耐荷重に注意しましょう。

プラスターボードの種類と主な活用方法

石膏ボード(GB-R)

標準的な石膏ボードは、住宅や学校などの壁や天井の下地によく使われている建築材料です。記号のRはregularの頭文字をあらわし、レギュラータイプのプラスターボードなので「普通ボード」とも呼ばれます。サイズは3×6版(さぶろくばん)と呼ばれる910×1,820mmがもっとも一般的です。

厚みは「9.5mm・12.5mm・15.0mm」の3規格。厚さ12.5mmで不燃材料、厚さ9.5mmで準不燃材料の認定をとっています。このタイプのプラスターボードはホームセンターでも常時手に入るため、DIYにも使いやすいでしょう。

普通硬質石膏ボード(GB-R-H)

レギュラータイプのプラスターボードをより硬く強くしたものが「普通硬質石膏ボード(GB-R-H)」です。記号の最後のHはhard(硬い)の頭文字をとっています。耐衝撃性と曲げ破壊荷重(どのくらい曲げに耐えられるか)の値も向上している、丈夫なプラスターボードです。

耐衝撃性は後述する「強化石膏ボード(GB-F)」の1.2倍以上。曲げ破壊荷重が「石膏ボード(GB-R)」の約1.3倍以上あります。病室の間仕切りや、学校の教室や体育館の壁、腰壁など強度を求められる場所に使われることが多いです。

シージング石膏ボード(GB-S)

水に弱いのがプラスターボードのデメリットだとお伝えしましたが、その弱点を克服しているのが「シージング石膏ボード(GB-S)」です。記号の最後のSはsheathingの頭文字で被覆の意味があります。その名の通り、プラスターボードの表面や芯部分に防水加工がされているのが特徴です。

湿度や温度の変化に強いため、洗面所や脱衣所、キッチンの壁の下地材、また天井や外壁の下地材にもよく使われます。「防水ボード」や「耐水ボード」と呼ばれるものは、このシージング石膏ボードのことです。

強化石膏ボード(GB-F)

普通石膏ボードより耐火性能に優れるのが「強化石膏ボード」です。GB-Fの記号Fはfire(火)の頭文字を表しています。火に強いのは、石膏の芯材にガラスなどの無機繊維材が混ぜ込まれているためです。

厚みは「12.5mm・15.0mm・16.0mm・18.0mm・21.0mm・25.0mm」の6規格があり、レギュラータイプより厚いものまであるのが特徴。大型ビルなどで、建築基準法で定められた防火区画(火事のとき火や煙が広がるのを防ぐ区画)に、耐火壁の構造体などとして使用されています。

構造用石膏ボード(GB-StーA・B)

強化石膏ボードの耐火性・耐衝撃性の優れた部分をそのままに、耐震性を強化したものが「構造用石膏ボード」です。記号のStはstructureを表し、構造の意味があります。

A種とB種があり、くぎを打ち付けた状態での強さを石膏ボードの3倍にしたものがA種、2倍にしたものがB種です。木造建築の耐力壁の構成材に使われます。耐震性をあげたり、地震や台風で建物がゆがむのを防いだりと、重要な役割を担ったプラスターボードです。

石膏ラスボード(GB-L)

ラス(lath)とは塗り壁の下地に使う板の意味。「石膏ラスボード」は塗り壁の下地に使われるプラスターボードです。表面に長方形のくぼみが規則的に何個もあいているため、左官材料が塗りやすく、施工性がアップしています。

石膏ラスボードは住宅和室に使われることが多いです。漆喰や珪藻土の塗り壁、繊維壁、砂壁、京壁などの下地に使われます。塗り壁材とプラスターボードの相性が悪いと剥離や変色が起こるため、あいだに下地調整が必要です。

化粧石膏ボード(GB-D)

「化粧石膏ボード」は、仕上げ加工されたプラスターボード。Dはdecoratedの頭文字でデコレーションされた、飾られたの意味です。上から塗装やクロス貼りをしなくていいので、仕上げ作業を省力化できます。

表面の紙自体に化粧加工がされているものや、プラスチックシートを張り合わせたもの、塗装されたものなど種類が豊富。衣装性の高い、型押しの模様がついたものや木目調、布のような柄もあります。

化粧石膏ボードは、和洋室の壁、天井、商業施設や店舗、オフィスなどでよく使われます。デザインを見本やサンプルでしっかり見て選びましょう。

不燃積層石膏ボード(GB-NC)

「不燃積層石膏ボード」は、表面を不燃性のボード用紙で仕上げたプラスターボードです。NCはnon combustible、不燃の意味です。標準タイプのプラスターボードは厚みが12.5mmで不燃材料、厚みが9.5mmだと準不燃材料ですが、不燃積層石膏ボードは厚み9.5mmでも不燃材料に適合します。

不燃性が求められる部屋や、薄くしたい天井や壁の下地材として使われます。厚みの分、軽いので作業性もアップするでしょう。

吸放湿石膏ボード(-Hc)

「吸放湿石膏ボード」は、石膏ボード・化粧石膏ボードの性能をそのままに、吸放湿性能を約3倍に高めたプラスターボード。吸放湿性能とは湿気をコントロールする力のことで、記号のHcはhumidity controlで調湿の意味です。

吸放湿石膏ボードは居室や押し入れの壁、天井に使われます。湿度が高いとダニやカビが増え、アレルギーの原因ともなるため、湿気の多い日本の気候に欠かせないプラスターボードです。湿度が高いときには湿気を吸って、湿度が低いときには水分を放ち乾燥を防ぐことで、部屋を快適に保ってくれます。

吸音用あなあき石膏ボード(GB-P)

「吸音用あなあき石膏ボード」には、吸音用の穴が多数あいています。記号のPはperforatedの頭文字で、穴の開いた、貫通したという意味です。

話し声は響きすぎると聞こえづらくストレスに感じます。そこで必要になるのが吸音。多数あいた穴を音が通るときに、音が吸い込まれるイメージです。プラスターボードの素材自体が吸音するというより、構造をいかした吸音システムなので、うしろに空気層があることで成り立ちます。

話し声の周波数と相性がよく、学校や会議室の天井に多く使われます。

まとめ

プラスターボードの原材料や特徴、メリット・デメリットと種類による違いやそれぞれの用途をご紹介しました。安価で施工しやすく、防火性、遮音性、意匠性にも優れるプラスターボード。建築やリフォームに欠かせない存在です。

たくさんの種類があって選ぶのが大変ですが、スペースアップではプロの視点からアドバイスさせていただきますので、安心してご相談くださいね。うまく活用すれば、きっと満足いくリフォームになるでしょう。

記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

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