「最近窓ガラスの表面が、白く浮き上がってきたような気がする」「汚れがひどくこびりついて、拭いても取れなくなってきた」
このように感じたら、窓ガラスの交換時期のサインかもしれません。
窓ガラスにも耐用年数があるため、ある程度の年数が経つと交換が必要です。しかしどの窓ガラスを選べば良いのか分からず、迷う方も多いでしょう。
今回は窓ガラスの交換でお悩みの方に向けて、窓ガラスの12種類について詳しく紹介します。サッシの種類や窓ガラスを選ぶポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
窓ガラスとは?役割・耐用年数について
窓ガラスとは、建物に取り付けるための枠(サッシ)の中にはめ込むガラスのことで、建物の内部と外部を分ける仕切りとして使われます。
窓があるおかげで、建物の中にいながら、採光や通風が得られます。
特に窓ガラスは、断熱、遮熱、防音、防犯などの役割も果たしており、日常生活に欠かせない存在です。
ガラスは無機物のため、割れたりひびが入ったりしない限り「半永久的に使える」とも言われてきました。
しかし長年使いこんだ窓ガラスには、経年劣化の一種である「アルカリ溶出」という、うろこ状に表面が白く浮き上がって見える現象が発生します。
白浮きした汚れは、から拭きだけで簡単に拭き取れますが、頻繁に汚れが出てくるので気になるのではないでしょうか。
もしも汚れがこびりついていたり、汚れのために外が見えにくかったりすれば、窓ガラス本来の役目を果たせていないので交換のサインです。
長年使った窓ガラスには目に見えない細かなキズも多く、キズの中に汚れが入り込んでしまいます。いくら拭き取ってもきれいにするのは難しいため、交換を検討しましょう。
一般的な窓ガラスの種類5つ
一口に窓ガラスと言っても、デザインや機能はさまざまです。
はじめに、住宅でよく使用されている一般的な窓ガラスの種類を5つ、紹介します。
フロートガラス
フロートガラスとは、一般的な窓ガラスとしてよく使用されている透明なガラスのことです。表面が平滑でゆがみも少なく、採光性や透視性に優れたスタンダードなガラスです。窓ガラスとして広く使用されてきましたが、断熱性を重視する傾向から、最近の新築住宅ではほぼ使われなくなりました。
型板ガラス
型板ガラスとは、ガラスの片面に型模様をつけたガラスのことです。光を通す割合を表す可視光透過率は、フロートガラスと同じくらい高く、見え方は明るいです。光は遮らずに適度に視界を遮るので、洗面脱衣室や浴室などプライバシーを確保したい場所で多く使われています。
すりガラス
すりガラスとは、ガラスの片面に金剛砂という研磨用の粉を吹き付け、金属ブラシで細かく磨くサンドブラストという加工を施したガラスです。すりガラスは片面が不透明になるよう加工されているので、型板ガラス同様にプライバシー確保の効果があります。一方で、水に濡れると透けてしまうため、室外用ではなく室内の間仕切りとして使われることの多いガラスです。
フロストガラス
フロストガラスとは、片面のみサンドブラストをした後に、フッ酸で表面に化学処理を施したガラスのことです。色味は乳白色の半透明で、滑らかな触り心地が特徴的です。
手垢などの汚れがつきにくいといったメリットもありますが、フロートガラスや型板ガラスと比べ、価格は高価です。すりガラスや型板ガラスよりもプライバシー確保の効果は高いですが、すりガラス同様、水に濡れると透けてしまうため、注意が必要です。
網入りガラス
網入りガラスとは、中に金網(ワイヤー)を入れたガラスのことで、飛散防止ガラスとしてよく使われます。透明タイプと型模様付きの不透明タイプがあり、ひし形の金網を入れたひし形ワイヤーが一般的です。他にも縦に金網を入れたプロステック、四角い金網を入れたクロスワイヤーなど、金網の形状は3つのタイプに分かれます。
防火性が高いのが特徴で、火災などの熱でガラスにひびが入っても破片が金網に引っ掛かり、飛び散ったり崩れ落ちたりしません。近隣への延焼を防ぐ効果もあるため、ガソリンスタンドや飲食店では、消防法で網入りガラスの導入が定められています。
金網が入っているため、割れにくいと勘違いされやすいですが、金網は飛散防止のためであり決して割れないガラスではありません。割れにくさは通常のガラスと変わらないため、過信しないようにしましょう。
機能性の高い窓ガラスの種類5つ
窓ガラスには、防犯性や断熱性といった効果を持つものも多く存在します。
ここでは機能性の高さが特徴的な窓ガラスを、5つ紹介します。
強化ガラス
強化ガラスとは、フロートガラスや型板ガラスに約650℃~700℃もの高熱で加工を施し、急激に冷却して強度を高めたガラスです。見た目はフロートガラスと変わりませんが、衝撃に対する強度は一般的なガラスと比較して約3~5倍。
万が一割れたとしても、通常のガラスのように鋭い破片にならず粉状に砕けるので、破片による怪我のリスクも少ないです。この性質から強化ガラスは「安全ガラス」とも呼ばれ、一般的な住宅以外にも学校やオフィス、デパートで広く使用されています。
ペアガラス
ペアガラスは複層ガラスの一種で、構成する2枚のガラスの間に空気を封入し、中空層をもたせたガラスのことです。
熱伝導率の低い空気の層でガラスを通した熱移動を防ぐ、高い断熱性が特徴です。
夏は外の熱さが室内に入り込むのを防ぎ、冬は室内の熱が外に逃げるのを防ぐため、冷暖房の省エネ効果が期待できます。
さらに中空層がガラス自体の冷えを防ぐため、冬に窓ガラスが結露しにくいというメリットも。冬の結露で悩んでいる方は、ペアガラスへの交換を検討すると良いでしょう。
トリプルガラス
トリプルガラスは3枚のガラスで構成され、2層の中空層をもったガラスです。
断熱性能が非常に高く、省エネ効果や結露を防ぐ効果は、ペアガラスよりも優れています。遮音性や防音性も高く、割れにくさから防犯面でも効果的です。
一方で使用するガラスが多いので価格は高く、重みも増すためサッシが開け閉めしづらくなるデメリットも。
トリプルガラスを使うときは、サッシの開けやすさを考慮して、通常の引き手ではなくハンドルタイプを使うのもおすすめです。
Low-E複層ガラス
Low-Eとは、「Low Emissivity(低放射)」の略で、2枚のペアガラスの内どちらか一方の中空層側に、特殊な金属膜をコーティングしたガラスです。
ペアガラスよりも高い遮熱・断熱性がありながら、トリプルガラスよりも軽量なのが魅力的。
Low-E複層ガラスは室内側と室外側、どちらにLow-E膜をコーティングするかによって、断熱タイプと遮熱タイプに分かれます。
断熱タイプは、室内側のガラスの中空層にLow-E膜をコーティングし、外からの日射熱を逃さずに室内を一定の温度に調整。
一方で遮熱タイプは、室外側のガラスの中空層にLow-E膜をコーティング。断熱タイプとは対照的に、外からの日射熱を防いで室内の温度の上昇を防ぎます。
一般的に断熱タイプのLow-E複層ガラスは、冬の日射熱を逃さないよう寒冷地帯で多く使われます。それに対して遮熱タイプのLow-E複層ガラスは、夏の強い日差しを遮るために温暖なエリアで使われるケースが多いのが特徴です。
真空ガラス
真空ガラスとは、構成する2枚のガラスの間の中空層が、真空になっているガラスです。
構造は複層ガラスと変わりませんが、中空層が真空のため、熱の移動がまったくありません。
価格は高価ですが、機能的なガラスの中でも特に高い断熱性を誇るため、断熱性を重視したい方は真空ガラスを検討す良いでしょう。
デザイン性の高い窓ガラスの種類2つ
最後に、機能性だけでなくデザイン性にも優れた窓ガラスの種類を2つ紹介します。
エッチングガラス
エッチングガラスとは、表面に彫刻のような装飾が施されたもの。エッチングとは、ガラスの表面を化学薬品の腐食性を利用して一部削り、形を整えたり装飾を施したりする加工技術。最近では、研磨剤を使用したサンドブラスト技法での装飾も増えています。
目隠し効果を得られるだけでなく、工夫次第では絵画のようなデザインも可能なため、オリジナル性の高い窓ガラスが楽しめます。ただしデザインが複雑になるほど高価になるので、注意してください。
和紙調ガラス
和紙調ガラスとは、ガラスの表面にフィルムを貼りつけ、和紙のようなテイストを加えた装飾ガラス。和紙調ガラスは和紙特有の柔らかさも表現しており、高い意匠性が楽しめます。
和紙調のフィルムを貼りつけているため、透視率は低く、ガラスの反対側は見えません。和紙と同じ風合いを保ちながら紙よりも湿気や汚れに強く、何より障子紙の張り替えが不要なことから、従来の障子を和紙調ガラスに変える方も増えています。
窓ガラスは「サッシ」との組み合わせが重要!主なサッシの種類は?
窓ガラスを交換するなら、ぜひ「サッシ」の性能も考えましょう。
窓ガラスの性能がいくら高くても、取り付けるサッシの性能が低くては、窓ガラスの機能や性能を十分に引き出せません。
ここではサッシの主な種類を4つ、見ていきましょう。
樹脂サッシ
樹脂サッシとは、窓枠のフレーム部分が塩化ビニルなどの樹脂でできたサッシのことです。
樹脂サッシは気密性が高く、さらに熱伝導率も低いため断熱性が高いのが特徴。
同じく断熱性を高めた複層ガラスを使用すれば、より高い断熱性が期待できます。
樹脂サッシ工業会によれば、樹脂サッシの北海道での普及率は約90%にもなるそうです。断熱性の高さから省エネも期待できるサッシとして、世界的にも普及が進んでいるサッシです。
アルミサッシ
アルミサッシとは、フレームにアルミニウム合金を使用したサッシのこと。
軽くてさびにくく、加工もしやすい特徴から、アルミサッシは特に高度経済成長期に大量生産され、多くの住宅で使用されてきました。現在も多くの住宅で使用されています。
一方でアルミは熱伝導率が高い素材のため、断熱性は期待できません。アルミサッシそのものも結露しやすく、断熱性能を重視する最近の新築住宅には適さない場合が多いです。
アルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシとは、室内側に断熱性の高い樹脂、室外側に耐久性の高いアルミと異なる素材を組み合わせたサッシです。
樹脂を使用しているのでアルミサッシよりも断熱性が高く、結露もしにくくなっています。
またアルミも使用しているので、樹脂サッシよりも強度が高いのが特徴です。
枠を薄くしながらも大きいガラスを使えるので、リビングなど開放感を求める場所に適しています。
木製サッシ
木製サッシとは、木材を使用したサッシのこと。
木材はアルミや樹脂よりも熱伝導率が低いため、4種類の中で最も断熱性に優れ、結露もしにくいのが特徴です。
ただし、木製サッシは風雨や紫外線による劣化が進みやすく、3~5年を目安に塗料を塗り替えるなど定期的なメンテナンスが欠かせません。
それでも木の質感や独特の風合いは他の素材では実現しにくく、デザイン性の高さから木製サッシを好む方も多くいます。
窓ガラスを選ぶときのポイント
窓ガラスを選ぶときのポイントは、次の2つです。
- ガラスやサッシに求める性能を明確にする
- 機能や性能と予算のバランスを考える
窓ガラスの種類は多く、プライバシーを確保するものから安全性を高めたもの、断熱性やデザイン性を高めたものまでさまざまです。
窓ガラスを選ぶときは、窓を設置する目的を明確にし、必要な機能を絞り込みましょう。
同様にサッシに求める性能も絞り込み、断熱性能の高いガラスには断熱性能の高い樹脂サッシを、というように、お互いの性能を高める組み合わせが理想です。
一方で、性能に優れたガラスやサッシは価格も高価なため、予算とのバランスも欠かせません。
必要な性能を明確にしながら、予算の範囲内で窓ガラスとサッシの組み合わせを考えましょう。
まとめ
窓ガラスは一般的なものをはじめ、強度や断熱性といった機能性を高めたものから、デザイン性を高めたものまで多種多様です。
ただし窓ガラスの性能を高めても、サッシの性能が低ければ十分な効果を発揮できません。そのため窓ガラスを選ぶときは、相応の性能をもつサッシを選ぶ必要があります。
窓ガラスの交換や新調に興味がある方は、ぜひスペースアップにご相談ください。窓ガラスの交換や新調を数多く手掛けてきたリフォームの専門家が、ご自宅にぴったりの窓ガラスとサッシをご提案いたします。
記事の監修者
リフォームアドバイザー
藤本塁
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。