リフォームコラム

スケルトンリフォーム(フルリフォーム)とは?メリットやデメリット、費用相場を事例別に紹介

今お住まいの戸建住宅やマンションをキレイにしたい方や、中古マンションを購入してリフォームしたいという方は、リフォームの規模について悩みますよね。見える部分だけ部分的に手を入れるのか、いちど構造体以外を解体して大胆にリフォームするのかによって、工期や費用は大きく変わってきます。

今回は近年人気の高まっている「スケルトンリフォーム」の特徴や流れについて解説します。具体的な事例もご紹介するので、費用や工事内容など参考にされてください。

  1. スケルトンリフォームとは?
  2. スケルトンリフォームのメリット
  3. スケルトンリフォームのデメリット
  4. スケルトンリフォームの費用相場
  5. スケルトンリフォームの施工事例別
  6. スケルトンリフォームの工事の注意点
  7. スケルトンリフォームの流れと工期
  8. まとめ

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スケルトンリフォームとは?

スケルトンとは英語でSkeleton(骨格・骨組み)のことです。
建物を柱や梁といった骨組みだけ残して、壁や床、天井などを解体。躯体のみの状態にしてから、間取りや内装などを1からつくっていきます。

スケルトンリフォームの特徴は、なんといっても通常のリフォームでは難しい「普段は見えない部分」にまで手を入れられること。劣化した排水管を入れ替えたり、断熱や耐震を向上させたりすることも可能です。

まずはスケルトンリフォームと混同しやすい「フルリフォーム・部分的なリフォーム・リノベーション」との違いについて見ていきましょう。

フルリフォームとの違いは?

フルリフォームは建物の目に見える部分について、全体的に新しくする工事を指します。

フルリフォームとスケルトンリフォームという言葉は、明確に使い分けられているわけではありません。
しかしフルリフォームでは必ずしも骨組み状態まで解体するとは限らず、古くなった内装や設備など表面のみを全体的に新しくする工事も含まれるでしょう。

部分的なリフォームとの違い

部分的なリフォームとスケルトンリフォームでは、工事の規模が変わってきます。

部分的なリフォームでは古くなったキッチンを入れ替えたり、床材や壁紙を張り替えたりと、気になる部分のみ手を入れます。それに対しスケルトンリフォームでは、間取り・内装・設備はもちろん、必要であれば耐震・断熱・配管なども修繕することが可能です。

リノベーションとの違い

リノベーションは英語でRenovation(刷新)という意味。建物の性能を向上させて、新しい価値を与えるような工事を指します。

リノベーションとスケルトンリフォームは厳密に区別されているわけではなく、ほとんど同じような意味合いで使われます。ただしリノベーションでは部分的な解体に留めることもあるのに比べて、スケルトンリフォームでは広範囲の解体工事が行われることが多いでしょう。

スケルトンリフォームのメリット

スケルトンリフォームで骨組みの状態からリフォームすると、以下のようなメリットがあります。

間取りが変更でき大胆に家の改造ができる

スケルトンリフォームの1つ目のメリットは、家族構成や生活スタイルにあわせて、大胆に住まいを改造できること。建物の骨組み(マンションならコンクリート躯体、木造戸建てなら基礎や柱、梁)のみを残して解体するので、部屋数を増減させたり、広い部屋をつくったり、大胆な間取り変更も可能です。

特に築年数の古い物件では今の生活スタイルに合わない間取りも多いので、うまくリフォームすると快適性がぐんと上がりますよ。

劣化した配管などを一新できる

住まいの給水管や排水管、給湯管の寿命は約15~40年。最近の配管は寿命が長くなっていますが、古い住宅では耐用年数を迎えている可能性があります。劣化した排水管を交換するときには、床や壁を取り外さなければなりません。

スケルトンリフォームでは壁や床をはがしますし、キッチンやお風呂などの水回りの工事も行いますので、ついでに劣化した配管を交換できます。水漏れなどのトラブルが起きてから工事するよりも効率的です。                 

耐震補強ができる

今や日本のどの地域に住んでいても、大きな地震がいつ起こるとも限らず不安がつきまといます。特に1981年5月までに旧耐震基準で建てられた住宅では、耐震性が不足していて大きな地震に耐えられないのではないかという不安がありますよね。

内外装を残したまま行うリフォームでは、耐震補強も部分的にしか行えません。しかしスケルトンリフォームでは構造全体を見渡せるので、より入念な耐震補強を施すことが可能です。構造体に耐震金具を追加したり、基礎や構造体の劣化をチェックして補修したりと、状況にあわせてさまざまな工事が検討されます。

耐熱・耐寒対策が強化できる

断熱工事も、耐震補強と同様にスケルトンリフォームと同時に行うと効率的です。

断熱工事のみをしようとすると、そのためにわざわざ壁や床を壊さなければなりません。しかしスケルトンリフォームであれば壁や床を解体したついでに、天井裏や壁裏、床下などに断熱材を入れることができます。

断熱性を高めることで、夏の暑さや冬の寒さを改善。築年数のたった住宅でも、まるで新築のように快適にすごすことができます。

新築建て替えよりもコストカットできる

スケルトンリフォームをすると、ぱっと見た感じでは新築のように内装や設備がきれいになります。ここまで見てきたように、耐震や断熱なども改善することが可能です。

それなのに新築や建て替えに比べると、工事費は少額で済む可能性が高いというのは、スケルトンリフォームの大きなメリットでしょう。ただし建物の劣化があまりにも激しい場合など、補修部分が多すぎて建て替えたほうが安いというケースもあるので、リフォーム業者に確認されてくださいね。

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スケルトンリフォームのデメリット

たくさんのメリットがあるスケルトンリフォームですが、もちろんデメリットもあります。スケルトンリフォームに固執せず、ご自身の工事の目的やご予算に合わせて、どんな工事をするか検討されるとよいでしょう。

部分的なリフォームよりも金額が高い

スケルトンリフォームは新築や建て替えに比べると安くすむことが多いですが、もちろん部分的なリフォームに比べると金額は高くなります。

ただし部分リフォームで「今回は内装だけ」「数年後に断熱や耐震を」といったようにバラバラに手を入れるくらいなら、スケルトンリフォームのようにある程度まとめて工事されるほうが効率がいいでしょう。トータルのコストとして下げられる可能性が高いです。建物の傷み方や、どんな住まいをつくりたいかによって、ベストな工事内容は変わってきます。

一時的に家に住めない期間がある

スケルトンリフォームでは建物がいちど骨組み状態になるので、住みながらの工事ができません。今お住まいの家をスケルトンリフォームされる場合は、ホテルやマンスリーマンションなどの仮住まい先が必要となります。親戚宅など頼れる先が近くにある方は、前もって相談されておくとよいかもしれません。

仮住まい先の家賃や引っ越し費用など、工事費以外のコストについても頭に入れておきましょう。また家具や家電などは、トランクルームなどを借りて保管しておくという方も多いです。

工期が部分的なリフォームよりも長い

スケルトンリフォームの工期は工事内容によって変わりますが、家全体を工事する場合は1.5~3カ月ほどかかることが多いです。また家のプランを決めていく打ち合わせにも、部分リフォーム以上の時間がかかります。

「子供の入園入学に間に合わせたい」「今の賃貸マンションの更新時期がもうすぐ」など引っ越しの希望時期がある場合、早めにリフォーム会社へ相談してスケジュール調整をしましょう。

将来的に家を売却するときの価格がやや落ちる場合がある

スケルトンリフォームで間取りやデザインが個性的すぎると、将来家を売るときの価格がやや落ちる可能性があります。将来的に売却や賃貸などに出すことを考えている方は、多くの方にニーズがあるプランニングを心掛けましょう。

その点に気をつければ、内外装や設備などが新しくキレイになって、断熱や耐震なども改善される分、同じ築年数の物件に比べてリセールバリューはむしろアップするでしょう。

スケルトンリフォームの費用相場

スケルトンリフォームは大がかりな工事になるので、費用感も気になりますよね。工事内容によって相場は大きく変わりますが、平均的な費用の相場は次のとおりです。1㎡あたりの単価となっていますので、家の面積を掛けて総費用を計算してみてください。

・一戸建て(木造):15~25万円/㎡
・一戸建て(鉄骨造):15~25万円/㎡
・マンション(RC造):10~15万円/㎡

一戸建てでは外壁や屋根、耐震工事など施工範囲が増えるため、マンションに比べると費用が高額になるケースが多いです。一般的な広さである30坪の木造戸建て住宅であれば、1,500~2,500万円ほどが相場です。

鉄骨造は構造躯体が高いので、建て替えるとなると木造の1.5~2倍程度の費用が必要になります。しかしスケルトンリフォームでは既存の躯体を活かすので、木造と比べてリフォーム費用にほとんど差がつきません。

マンションは室内のみの工事となるため、一戸建てに比べると費用は抑えめ。コンパクトなマンション(40㎡)なら400~600万円、ファミリー向けマンション(70㎡)なら700~1,000万円くらいが相場という計算になります。

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スケルトンリフォームの施工事例別

ここからは中古マンションでのスケルトンリフォーム事例を3つ、中古戸建てでの事例を2つご紹介します。工事内容や費用感など参考にされてください。

中古マンションでのスケルトンリフォーム①リゾートホテル風の安らげる空間

■築年数:18年
■リフォーム費用:730万円
■工事期間:1.5ヶ月

まずはフローリングや壁を外して、お風呂はすべて解体するなど、必要な部分を解体しながらリフォームした事例です。フルスケルトンではありませんが、広範囲にわたって手を入れています。

リビングダイニングの壁を抜いてつなげ、広々とした空間に。もともとマンションの最上階で天井高も高かったのですが、大きな窓にバーチカルブラインドを設置して縦ラインを強調させたことで、天井の高さがより際立ちました。天井は黒いクロスで落ち着きをだし、テレビ背面の壁には大理石調のタイルを敷き詰めて上品に仕上げています。

中古マンションでのスケルトンリフォーム②ブルックリン風の大人空間

■築年数:21年
■リフォーム費用:744万7千円
■工事期間:2ヶ月

お部屋の雰囲気は好みではないものの、立地が気に入って購入された築21年のマンション。間取りを変更するため、建具や天井、壁なども解体し、トイレの排水管だけを残した状態からリフォームしました。

広々としたリビングダイニングは、黒とヴィンテージレンガがポイントのブルックリンスタイルに。リフォーム前に比べて、ガラッとイメージが変わりましたよね。洋室を丸ごとウォークインクローゼットにして玄関とつなげ、身支度も片付けもスムーズになりました。

中古マンションでのスケルトンリフォーム③家族がゆったりすごせるオープンな間取り

■築年数:45年
■リフォーム費用:472万円
■工事期間:2ヶ月

車いすや介護の必要なお子さんがいるとのことで、おうち全体をバリアフリーを意識してリフォームされた事例です。

車いすで室内を移動したり、寝室に医療器具などを入れたりすることを考えると、既存の間取りでは手狭でストレス。そこで界壁や設備、床などを解体し、オープンな間取りをつくりました。キッチンも壁付けから対面式へ変更したので、いつでもお子さんのようすが見守れます。

オープンな間取りは気持ちも明るくなりますし、ヘルパーさんや看護師さんがきたときの移動もスムーズ。ご家族のコミュニケーションが増えるのでいいですよね。

戸建てでのスケルトンリフォーム①家族が笑顔になるバリアフリーの家

■築年数:25年
■リフォーム費用:1,330万4千円
■工事期間:2.5ヶ月

ここからは戸建住宅のスケルトンリフォーム事例をご紹介していきたいと思います。こちらの事例も、先ほどのマンションの事例と同様にバリアフリーを意識したリフォーム。不慮の事故で車いすが必要となったご家族が、なるべく自立した生活を送れることが住まいをつくっていくうえで重要な課題でした。

水回りは1カ所にまとめて車いすでも使いやすく広げるため、配管の位置から変更。広いリビングをつくるため、構造上取れない柱は慎重に残しながら、間仕切り壁の解体も行いました。増築で車いすでもスムーズに出入りできる玄関もつくったので、ご家族に気兼ねせず外出もできます。

戸建てでのスケルトンリフォーム②生活動線にこだわった二世帯住宅

■築年数:23年
■リフォーム費用:1,305万円
■工事期間:3ヶ月

こちらは奥様のご実家である戸建住宅を、二世帯同居のためにリフォームされた事例です。

間取り変更をするために、壁や階段などを解体。お風呂を2階から3階へ移動させたり、3階にトイレを新設したりと、今の生活にあわせた間取りにしました。構造上、キッチンの向きを変えるのが難しかったため、リビングを遮っていた壁をなるべく減らし、オープンなつくりにしています。

親世帯と子世帯での生活リズムの違いもありますが、間取り変更によってストレスフリーに。家事動線も改善されました。1から新築するのに比べて低予算でこだわりが実現できたと、大変満足されているようです。

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スケルトンリフォームの工事の注意点

スケルトンリフォームは工事の規模も大きくなるので、注意点も多めです。構造によっても注意すべき点が異なるので、それぞれ解説していきたいと思います。

木造のスケルトンリフォームの注意点

木造のスケルトンリフォームでは、基礎・土台・柱・梁などを残して解体工事を行います。

木材はシロアリ被害や腐食などをしている可能性があるので、劣化状況を確認するのがポイントです。もし不具合があれば、しっかりと補修や補強をすることで、長持ちする住まいになります。

また木造は構造によって間取りの自由度が変わります。大きくわけると、柱や梁などの”線”で支える「在来工法」と、木材でつくったパネルの”面”で支える「2×4工法・2×6工法」の2種類。面で支える2×4工法は在来工法に比べると「窓が大きく開けられない」「開放的な間取りが難しい」などの制約がでやすいです。どちらの工法で建てられているか確認しましょう。

鉄骨造のスケルトンリフォームの注意点

鉄骨造のスケルトンリフォームでは、鉄骨でできた柱・梁・筋交いなどの枠組みを残して解体工事を行います。

解体したあとのチェックポイントとしては、鉄骨のサビや結露などがないかという点は必ず見ておきたいです。サビがあるということは水の侵入などの原因が隠れていることも多いので、原因も究明します。サビをとるだけでなく、防水やサビ止めなどをして、今後のサビも予防していきましょう。

鉄骨造は建て替えるとなると、木造以上にコストがかかります。そのため築年数が古い鉄骨造では、表面のみのリフォームよりスケルトンリフォームをしたほうが効率がよいかもしれません。構造躯体までしっかりとメンテナンスすることで、建物を長持ちさせられます。

RC造のスケルトンリフォームの注意点

鉄筋コンクリート造のスケルトンリフォームでは、構造壁以外の間仕切り壁や床などを解体して、構造体のみの状態にします。

注意したい躯体の症状は、コンクリートのひび割れ。そして内部の鉄筋が錆びることでコンクリートが内部から破裂する「爆裂」という現象です。こういった症状がないかチェックして、必要に応じて補修をします。

鉄筋コンクリート造も工法によって間取りの自由度が変わってくるので、どの工法で建てられているか要チェック。鉄骨の柱や梁の”線”で支える「ラーメン構造」は、不要な壁が撤去しやすく間取りの自由度が高め。壁や床などの”面”で支える「壁式構造」は、撤去できない壁が多めです。窓やドアのサイズも制限されやすいでしょう。

マンションのスケルトンリフォームの注意点

マンションのスケルトンリフォームは、戸建てに比べると制約が多め。まずリフォームできるのは専有部分のみで、共有部分(隣室や戸外との間の壁、窓など)には勝手に手をいれることができません。

マンションによっては、専有部分の工事についても管理規約や使用細則で制限がかけられていることがあります。たとえばフローリングの遮音等級が指定されていたり、工事内容について管理規約への申請や許可が必要だったりするケースです。リフォーム業者に詳しく確認してもらうことをおすすめします。

また大規模なマンションはラーメン構造が多いですが、低層のマンションではよく壁式構造が採用されています。壁式構造は壁で建物を支えており、撤去できない壁が多めです。

スケルトンリフォームの流れと工期

スケルトンリフォームの工期は、およそ1カ月半~3カ月程度。次のような流れで工事を進めます。

①解体工事
家の骨組みを残し、不要な壁や床などを撤去します。

②補強工事
解体後の構造を確認して、筋交いや金物を入れたり、制振ダンパーを設置したりと必要に応じて補強します。

③断熱工事
壁や床をはがすことで、家全体の断熱性能を高めることもできます。断熱材を敷き詰めたり、断熱性能の高い窓にしたりすることで、暑さや寒さが改善できます。

④外装工事
戸建て住宅で外装もスケルトンにする場合、早めに外壁や屋根の工事を行います。

⑤配管工事
壁や天井を解体すると電気配線がでてくるので、指定場所に処理し。水道やガスなどの配管も整備します。

⑥下地工事
新しい壁や天井、床などの骨組みをつくり、下地を設置します。

⑦内装工事
床や壁を張り、キッチンやトイレなどの設備も入れます。棚やカウンターなどを造作することも多いです。最終的な仕上げがおわれば完成です。

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まとめ

スケルトンリフォームは、内装や設備だけでなく、間取りや断熱、耐震、配管まで手を入れられるリフォームです。新築や建て替えより低予算で、まるで新築のようにきれいな住まいが叶います。

大がかりな工事になるので、信頼できるリフォーム業者に依頼することが大切です。スペースアップはスケルトンリフォームなど大規模なリフォームも実績豊富です。お客様に合わせたアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

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