「水まわりをリフォームして広くしたい」「設備交換を機に水まわりの印象を変えたい」という方も多いのではないでしょうか。水まわりは、生活上の不便さを感じやすいこともあり、住宅リフォームにおいては最も人気のある箇所です。
今回は、住宅の水まわりリフォームにかかる費用相場と主な施工例、費用を抑えるおすすめの方法などを紹介します。
住宅における「水まわり」はどの場所を指す?
住宅における水まわりとは、主にキッチン・浴室・洗面所・トイレの4か所のことです。
水まわりはそもそも「水を使う場所」を広く指す言葉です。近年の戸建て住宅であれば、ウイルス感染対策として設置される小さな手洗い場も水まわりに含まれます。
水まわりは生活でよく使うため、部屋の広さや使い勝手などで不満が出やすい場所です。ライフステージの変化で水まわりの使用人数が変わったり、設備の劣化が目立ったりしたときに、水まわりのリフォームを検討する方が多いでしょう。
水まわりの適切なリフォーム時期
水まわりのリフォームを検討する一般的なタイミングは、設備の設置後から10~20年と言われています。リフォームすべきか悩んでいる方は、現在の設備の状態や、設置後何年程度であるかを確認するとよいでしょう。
また、水まわりの給排水管も経年で劣化します。設備にあまり劣化が見られなくても、10~20年が経過している場合はリフォームを検討することがおすすめです。
【場所別】水まわりリフォームの費用相場
水まわりリフォームの費用相場は「どの場所をリフォームするか」で大きく異なります。水まわりリフォームをしたい場所はどこかを明確にした上で、費用相場から予算を考えましょう。
ここからは、具体的なリフォーム内容と各リフォームの費用相場を、水まわりの場所別に解説します。
キッチンリフォーム
キッチンリフォームの費用相場は、「約50万~250万円」です。キッチンはサイズが大きい設備であり、水道のほかにガスや電気も通っているため、水まわりリフォームの中では費用相場が高めとなっています。
リフォーム内容別での費用相場は下記の通りです。
システムキッチンの交換 | 約50万~150万円 |
壁付けキッチンから対面式への交換 | 約50万~200万円 |
キッチン位置の移動 | 約20万~250万円 |
特にキッチンをハイグレードな設備にしたり、キッチン位置を大きく移動させたりするリフォームでは、費用が大きくかかる傾向があります。
浴室リフォーム
浴室リフォームの費用相場は、「約50万~200万円」です。浴室の種類は「ユニットバス」「在来工法の浴室」があり、いずれであるかによって下記のようにリフォーム費用に影響します。
ユニットバス全体の交換 | 約50万~150万円 |
在来工法の浴室全体の交換 | 約80万~200万円 |
在来工法の浴室からユニットバスへの交換 | 約65万~150万円 |
浴室の位置移動と交換 | 約100万~200万円 |
浴室壁面・床面の張り替え | 約10万~15万円 |
浴室の各パーツが一体型となっているユニットバスは、リフォーム費用が安くなる傾向です。
また、浴室の位置移動を行う場合は、移動距離が長いほど給排水管や電気配線の移設工事費用が高くなるため注意してください。
洗面所リフォーム
洗面所リフォームの費用相場は、「約10万~50万円」です。洗面所リフォームでは、かかる費用の主体は洗面台の交換費用です。ほかに壁紙張り替え・収納設置・水道管工事などが必要な場合に、付随する工事費用がかかります。
洗面台の交換 | 約10万~30万円 |
洗面所全体のリフォーム | 約20万~50万円 |
洗面所の位置移動と洗面台交換 | 約20万~50万円 |
壁紙の張り替え | 約3万~7万円 |
洗面台の費用はグレードによって大きく異なることが特徴です。ハイグレードな洗面台は収納力が高いタイプや洗面ボウルが2つあるタイプなどがあります。
トイレリフォーム
トイレリフォームの費用相場は、「約10万~50万円」です。トイレリフォームでは、周辺設備を追加する工事が人気となっています。
トイレ本体の交換 | 約15万~50万円 |
和式トイレから洋式トイレへの交換 | 約15万~60万円 |
ウォシュレットの設置 | 約4万~17万円 |
手洗いカウンターの設置 | 約6万~20万円 |
トイレ位置移動と交換 | 約30万~90万円 |
トイレ壁面・床面の張り替え | 約5万~12万円 |
トイレ本体の交換に加えて周辺設備の設置もすると、100万円以上の費用がかかるケースもあります。かかる費用をよく見極めてリフォーム内容を組み立てましょう。
【価格帯別】水まわりリフォームの施工例
水まわりリフォームの計画を立てるときは、施工例を参考にすることも有効です。価格帯別での施工例をベースに施工内容を組み立てたり、水まわりリフォームのイメージを膨らませたりしてみるとよいでしょう。
ここからは、水まわりリフォームの施工例を「~50万円」「50万~100万円」「100万~150万円」「200万円~」の4つの価格帯に分けて紹介します。
~50万円でできる水まわりリフォーム
「~50万円」の価格帯では、リフォーム費用が比較的安い洗面所やトイレのリフォームがメインとなります。
リフォームの施工例を2つ紹介します。
洗面台と壁紙のみを変える簡単なリフォーム
洗面台の交換 | 20万円 |
壁紙の張り替え | 5万円 |
合計 | 25万円 |
洗面台の交換と壁紙の張り替えだけを行うリフォーム例です。交換する洗面台のグレードを下げれば費用をより安くできます。
トイレ空間を新調しつつ、ウォシュレットを設置
トイレ本体の交換 | 30万円 |
ウォシュレットの設置 | 12万円 |
トイレ壁面・床面の張り替え | 8万円 |
合計 | 50万円 |
雰囲気の暗さや古さが目立つトイレも、トイレ本体から壁・床までリフォームすることで快適な空間になります。
50万~100万円でできる水まわりリフォーム
「50万~100万円」の価格帯であれば、キッチンや浴室のリフォームも視野に入れやすくなります。
システムキッチンを新しい設備に交換
システムキッチンの交換 | 70万円 |
キッチン壁紙の張り替え | 10万円 |
合計 | 80万円 |
キッチン設備に機能性の高さを求めたいときは、よりハイグレードな製品を選ぶとよいでしょう。
浴室と脱衣洗面所のリフォーム
在来工法の浴室からユニットバスへの交換 | 75万円 |
洗面台の交換 | 15万円 |
脱衣洗面所の壁紙の張り替え | 7万円 |
合計 | 97万円 |
浴室とあわせて脱衣洗面所のリフォームも行う例です。
なお、ユニットバスの交換や、在来工法からユニットバスへの交換では、浴室壁面・床面のリフォームも同時に行われます。
100万~150万円でできる水まわりリフォーム
「100万~150万円」は、水まわりに多くの設備を追加したり、2か所以上のリフォームを行ったりもできる価格帯です。
こだわりの仕様でキッチンをリフォーム
壁付けキッチンから対面式への交換 | 120万円 |
キッチン壁紙の張り替え | 8万円 |
ダウンライト追加 | 10万円 |
合計 | 138万円 |
既存の壁付けキッチンを、より機能の多い対面式キッチンへと交換する例です。壁紙張り替えと照明追加もすることで、キッチン空間の印象を大きく変えられます。
水回り3か所の同時リフォーム
ユニットバス全体の交換 | 80万円 |
洗面所全体のリフォーム | 40万円 |
トイレ本体の交換 | 20万円 |
トイレ壁面・床面の張り替え | 10万円 |
合計 | 150万円 |
浴室・洗面所・トイレの3か所を同時にリフォームする例です。設備のグレードや数を調整すればさまざまな組み合わせが選べます。
200万円~でできる水まわりリフォーム
「200万円~」の価格帯では、こだわりや機能を最大限叶えられるリフォームが可能です。
自宅の水まわり全体をリフォームするケース
システムキッチンの交換 | 140万円 |
在来工法の浴室からユニットバスへの交換 | 100万円 |
洗面所全体のリフォーム | 40万円 |
トイレ本体の交換 | 30万円 |
ウォシュレットの設置 | 12万円 |
トイレ壁面・床面の張り替え | 8万円 |
合計 | 330万円 |
水まわり全体にリフォームの必要性が感じられたときは、まずは全体のリフォームで見積りを取ってから削る部分を考えるのもよいでしょう。
キッチンと浴室の集中的なリフォーム
システムキッチンの交換 | 120万円 |
キッチン壁紙の張り替え | 8万円 |
キッチン収納の追加 | 20万円 |
ユニットバス全体の交換 | 100万円 |
合計 | 248万円 |
特に費用が高くなりやすいキッチンと浴室に限定して、集中的にリフォームする例です。
予算に余裕がある場合であっても、リフォーム範囲を広げるか、手をかける部分を集中させるかは検討することが大切です。
水まわりリフォームの費用を抑えるなら「セットプラン」がおすすめ!
水まわりリフォームを行う業者によっては、複数の場所の工事がセットになったお得なセットプラン(リフォームパック)を提供しています。セットプランを利用すれば、個々にリフォームを行うよりも費用を抑えられます。
セットプランで費用を抑えられる理由は、そもそもの資材がセット販売前提となっていて、仕入れ値が安いためです。
また、複数の工事を一度に実施することにより、人件費・養生費などの諸経費をカットできるというメリットもあります。
水まわりリフォームの3点セット・4点セットについて、費用相場とメリット・デメリット、向いているケースなどを解説します。
3点・4点セットの費用相場
水まわりリフォーム3点セットと4点セットを利用した場合の費用相場は、下記の表の通りです。
3点セット | キッチン・浴室・トイレ | 約100万~200万円 |
キッチン・洗面所・浴室 | 約80万~185万円 | |
浴室・洗面所・トイレ | 約80万~135万円 | |
4点セット | キッチン・浴室・洗面所・トイレ | 約90万~200万円 |
3点セット・4点セットともに、個々の工事を依頼する場合よりも費用が安く抑えられています。
例として、「100万~150万円でできる水まわりリフォーム」で紹介した浴室・洗面所・トイレのリフォーム例の費用は150万円となっていました。3点セットであれば同じ内容で約80万~135万円であり、15万~70万円の節約となる計算です。
3点・4点セットのメリット・デメリット
セットプランを用いた水まわりリフォームには、メリットだけでなくデメリットもあります。セットプランの利用を検討している方は、メリット・デメリットの両方を把握しましょう。
セットプランのメリット
- リフォーム費用を安く抑えられる
- 全体の工期が短い
- リフォーム業者との打ち合わせがあまり必要ない
セットプランは複数の工事をセットで注文することにより、リフォームにかかる費用や工期を抑えることが可能です。
セットプランの利用をするかどうかを考えるだけでよいため、リフォーム業者との打ち合わせを繰り返す必要がないというメリットもあります。
セットプランのデメリット
- 商品やグレードの選択肢が限られている
- 基本的に設備交換のみ対応している
セットプランは設備の組み合わせがあらかじめ決まっていて、商品やグレードなどを自由に選ぶことができません。
また、セットプランでの水まわりリフォームは、基本的に設備交換のみ対応しています。壁紙や床の張り替えが必要な場合は、別途工事費用がかかる可能性があるでしょう。
3点・4点セットが向いているケース・向いていないケース
最後に、水まわりリフォームでセットプランが向いているケースと、向いていないケースのそれぞれを紹介します。
セットプランでの水まわりリフォームが向いているケース
- 水まわりリフォームの費用をなるべく安くしたい
- 設備の種類や機能にあまりこだわらない
- 機種やオプションを選ぶのは面倒だから、リフォーム業者におまかせしたい
セットプランのデメリットである「選択肢が限られている」ことは、商品選びに時間をかけたくない方にはメリットとなるポイントです。適した組み合わせをリフォーム業者が提案してくれるので、すぐにリフォーム工事を始められます。
セットプランでの水まわりリフォームが向いていないケース
- 設備の種類や機能にこだわりたい
- リフォームの場所ごとに交換したい商品や必要な機能が決まっている
- リフォームにあわせて内装工事や補修工事も行いたい
水まわりリフォームの計画をしっかり決めたい方や、設備選びの自由度を高くしたい方は、セットプランは不向きと言えます。
まとめ
水まわりリフォームの費用相場はリフォームする場所によって異なります。
一般的な費用相場は、キッチンが約50万~250万円、浴室が約50万~200万円、洗面所は約10万~50万円、トイレは約10万~50万円です。
水まわりリフォームは組み合わせる施工内容によっても費用が変わります。複数の場所で工事をする場合は、費用を抑えられるセットプランの利用も検討しましょう。
ただし、セットプランはメリットだけでなくデメリットがあり、そもそもセットプランを提供していない業者も存在します。まずはリフォーム業者に水まわりリフォームの相談をすることがおすすめです。
記事の監修者
リフォームアドバイザー
藤本塁
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。